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2024.03.25

広告表現のコンプライアンスとビジネスジャッジ

執筆担当 弁護士 三木憲明

 私が弁護士として携わっている分野に薬機法(旧薬事法)や景表法等に関連した広告表現のリーガルオピニオン作成があります。

 その際には大きく2つの視点が必要になります。

1つは「この広告、効果効能を謳ってない?」とか「信憑性のあるバックデータに基づいてる?」といった狭義のリスクマネジメントの視点であり、もう1つは、これらのリスクを覚悟でなお商品訴求するか、するとしてよりセーフティーに訴求するにはどんな方法があるかという広義のリスクマネジメントあるいはビジネスジャッジメント(経営判断)の視点です。

 私が特に関心を持っているのが2番目です。ビジネスジャッジメント(経営判断)というと、取締役の善管注意義務の問題として「違法行為を選択する余地はない。」というテーゼが思い浮かびますが、広告表現については、結果として黒=違法とされる表現でも、判断時にそこまで明らかに違法と考えるべきだったかは、なお問題として残るというべきではないか(少なくともその余地がある)と、私は考えています。

 その意味で、取締役としては「後々黒と指摘されるかもしれないが、されないかもしれない。そうした状況でリスクテイクして商品訴求にトライすべきか。」を考える際には、法的な知見のみならず、レピュテーションの視点、もっと言えば顧客(消費者)目線に常に配慮した「お客様に誤解を与えないだろうか?」を自問自答できるセンスが求められると思います。

 私が弁護士としてこの種のサポートに従事する場合は、「~はできない。」という明確な線引きとともに、「~すればできる(かもしれない)。」というソリューションの提供も同時に行うよう努めています。現実には、ワーディング(ライティング)の問題としてなかなか困難なときもありますが、少なくとも「できない理由を探すだけ」ということにはならないよう、最後まで依頼企業とともに協働し前進していけるよう心がけています。