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2024.06.24

広告表現規制について part2 景品表示法

広告表現規制についてpart1「効能効果表現」はこちらからご覧ください。

執筆担当 弁護士 奥田智子

 広告表現にはいくつもの法規制があります。ここでは、優良誤認表示や有利誤認表示等について規制する不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます。)における広告表現に関する規制についてお話します。

  景品表示法は、広告などの顧客誘引行為における、不当な表示と過大な景品類の提供について禁止する法律です。広告“表現”の規制としては不当な表示の禁止が関係します。
  不当な表示として禁止される表示には、優良誤認表示、有利誤認表示、その他の不当表示として内閣総理大臣が指定した表示があります。

  優良誤認表示とは、商品やサービスの品質や内容について、実際のものよりも、あるいは類似の他の商品やサービスよりも事実に反して、著しく優良であると一般消費者に誤認される表示です。
  例えば、実際には違うのに国産のブランド牛であるとの表示をして牛肉を販売する行為や、カシミアを使用していないにもかかわらずカシミア混50%と表示してマフラーを販売する行為などがこれにあたります。

  有利誤認表示とは、商品やサービスの価格や取引条件について、実際のものよりも、あるいは類似の他の商品やサービスよりも事実に反して、著しく優良であると一般消費者に誤認される表示です。
  例えば、「今ならお値段40%オフ!!」などといった表示をつけて商品を販売していたものの、いつも同じ価格で販売していた、などの行為がこれにあたります。
  価格に関する表示については、お得感を演出するため類似商品との比較や通常価格との比較表現をする二重価格表示が多用される傾向にあるため、行き過ぎの表現とならないよう、消費者庁は、不当表示にあたると考えられる表現、基準をガイドラインで示しています。二重価格表示を行いたい場合には、不当表示にあたらないようガイドラインの考え方を参考にしながら適切な広告表現にする必要があります。

  その他の不当表示として内閣総理大臣が指定する表示には様々なものがあります。例えば、告示「無果汁の清涼飲料水等についての表示」では、果汁や果肉を使用していないが、果実の名称を用いた商品名とする場合、果実の絵や写真を表示する場合、あるいは果汁の色のついた飲料水とする場合は、無果汁、無果肉であることを明瞭に表示しなければ不当表示にあたるとされています。また、果汁が入っていても、果汁5%未満の飲料水である場合も「果汁〇%」という明瞭な表示をしていなければ不当表示にあたるとされています。
  オレンジの果肉の絵を付したデザインのペットボトルで無果汁のジュースを販売したいなら、「無果汁」あるいは「果汁0」などと表示しなければなりません。表示方法についても、商品名と一緒に目にする場所に表示しなければならないことや文字の大きさなど細かな基準があります。

  また、他にも告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」では、実際には事業者が自分の商品の宣伝として表示をしている(表示をさせている)が、事業者による宣伝であることが分からないような表示の場合、不当表示にあたるとされています。
  この告示は、2023年3月に公表されたもので、ステルスマーケティングに対する規制であり、2023年10月1日から施行されました。例えば、SNSやレビューサイト等において、一般消費者を装って商品の良さをアピールする行為などが不当表示にあたるとされます。インフルエンサーに広告を依頼してSNS等で商品アピールをしてもらうような行為も該当します。インターネット上の表示だけでなく、新聞、雑誌、テレビ等での表示も規制を受けます。このような宣伝手法を利用したい場合は、広告であること、宣伝であることがはっきりと分かるように表示を行う必要があります。

  その他にも「商品の原産国に関する不当な表示」、「おとり広告に関する表示」、「有料老人ホームに関する不当な表示」等複数の告示が出されていますので、広告表現を考える際には、これらのチェックが必要です。

  罰則 不当表示に該当すると判断され、必要と判断された場合、誤認の解消のために必要な行為や、表示の撤回、再発防止策をとることなどを求める措置命令が出されます。不当表示の態様によっては商品の返品・返金が必要となるケースもあり得ます。この措置命令に従わなかった者には、刑事罰(2年以下の懲役または300万円以下の罰金。法人の場合は3億円以下の罰金)も規定されています。
  さらに、不当表示のうち優良誤認表示行為及び有利誤認表示行為については、課徴金制度が導入されおり、課徴金納付命令が出される場合もあります。
  課徴金の負担や、措置命令に対応する費用が大きな負担となることはもちろんですが、これらが出された場合は処分内容が公表されますので、企業イメージの低下は避けられません。

  このようなリスクを回避するためにも、不当な表示とならないよう様々な視点から広告の内容を考える必要があります。